春の日に。冬物語

 がようやく自分の部屋に到着すると、なぜかちょうど良くジャージな木田と鉢合わせになった。
「おう、。風呂は上がったか」
 さっき、夕食のために食堂へ向かったはず。もうご飯を済ませたのか。いつも三人前を食べるはずなのに、早い。でもそのことについては、あえて聞かないようにした。
「はい。何だか偶然ですね」
 そう答えながら、扉の取っ手に手を延ばす。
「ははは、そうだな」
 嬉しそうに木田も笑う。はそのまま扉をひらく。そこで達はおかしなものを眼にした。
「あ」
 美樹がすっ裸でうろうろしていた。一体何をしているんだこの人は。慌てて木田を部屋にいれて扉を閉めた。
「お帰り〜木田ちゃん、ちゃん。ところでミキちゃんの下着知らない〜?」
 やや長い髪が、ぬれている。どうやらシャワーを浴びたらしいのだが、着替えを用意してなかったようだ。世話の焼ける人である。
「知りません! 川下先輩、洗濯してないんじゃないですかっ?」
 だてに部屋を汚くしてるわけではない。洗濯だってさぼりまくり。たまにが洗濯してやらないと、何も着ないことがあるから困る。
「困ったなあ〜。しかたないなぁ、友達に借りたやつ使おうっと」
 そう言いながら美樹が出してきたのは、男物の下の下着だった。
「友達のって、それ男の人のじゃないですか? どんな友達ですかっ」
 語気を荒めて詰問しようとするが、それには後ろの木田が笑って答えた。
「いやあ、オレもよく使うぞ。ゆったりしてるから、いいぞ」
「だよねぇ〜」
 なんで木田先輩はこんな時に同調するのだろうか。は呆れてしまう。ところ、木田が自らの荷物から、男性用の上の下着を持ち出した。
「上はこれ使え、美樹。ちょっと大きいかもな」
 黒の無地のTシャツを美樹に投げて渡していた。「さ〜んきゅ〜」と、のんきに感謝する美樹美樹である。
「もう、勝手にして下さい!」
 特に怒ることでもないのだろうが、何だか不機嫌になってしまう。かといって、美樹木田も相変わらずの態度のため、何だか虚しくなってきた。
「まあまあ、明日は早いんだし、さっさと寝ようぜ」
 木田先輩は明日に限らず毎日早い。女子バレー部の朝練だからだ。
「ミキちゃんも、もう寝るぅ〜」
 川下先輩は、なぜか早く寝る。理由は、わからない。多分、よく寝る人なのだろう。
「私も寝ます」
 は風紀委員だから早く寝る。昔から睡眠時間を充分にとらないと駄目な性分なのだ。
 そういうことで、少し早い消灯と相成った。三人は明かりを消して、ベッドルームへと消えていった。木田先輩と川下先輩は二段になったベッドの上を使い、木田先輩が寝るベッドの下段を利用する。川下先輩の下は右堂さんのだ。

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