ある日に。冬物語
4 「あ〜、翔ちゃんだ〜!」
 の後ろに、いつの間にやら美樹が立っていた。美樹の背中に前半身を押しつけ、おぶさるようにして翔人に右の人差し指をむけた。
「み、美樹! なんでお前が…」
 翔人は後ろに一歩引いた。
 それから翔人は遅れた理由を述べ、なぜ、自分達が派遣されたかまで説明した。
「遅れたのは、ちょっとここには入りにくかったから戸惑っていただけ。そして、僕が派遣されたのは、以前の悪事の埋め合わせってところだ」
 納得。翔人ならばグラス・オーラも使えるし、頼りになりそうだ。何より、今回は真面目そうだし。問題は、藤沢だ。相変わらず彼はと仲が悪いらしく、顔も合わせようともしない。「俺も同じようなもんだ」とだけ言って、後は話に参加したがらなかった。
「そうですか。わかりました」
 それでも、一応は理解した。
「それじゃあ早速、行きましょうよぉ〜」
 美樹翔人藤沢の手を引っ張って、女子寮に連れ込もうと企む。ところが二人同時に美樹の手を振り払ってしまう。
「やめろよ美樹、行くからいいって」
「わかったから離せよ!」
 翔人藤沢も、力づくで払ってしまう。何だか悪い雰囲気になりそうだったが、これくらいでめげるような美樹ではなさそうだ。
「じゃあみんな、ちゃんについてきてぇ〜」
 美樹の肩に手を置き、女子寮門をくぐっていこうとした。
「それでは、こちらに来て下さい。話はそれからです」
 何とかも、平静を保って道を案内する。すると、翔人はわからないくらいにぎこちなく、藤沢は妙につれなく、ついてきた。
 達が案内したのは女子寮の裏側で、学園との仕切りの高い壁の前、ちょうど車両置き場になっている土地だった。ここには明かりが何本か設置されており、近くの相手くらいは間違いなく確認できる。

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